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ENDRESS TALE

夜に濡れる罪の翼 1

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           ◆

 ニューヨークには、ジョン・F・ケネディ国際空港、ニューアーク・リバティ国際空港、ラガーディア空港と、かつて三つの空港があった。
 しかし、未解析の生物兵器による連続テロ事件でマンハッタンが封鎖され、その周辺からも避難勧告が出されてからは、その三つの空港すべてに民間機の乗り入れが禁止され、唯一ジョン・F・ケネディ国際空港のみが、軍の統治下に置かれて、空港としての機能をなんとか維持していた。
 米国陸軍大佐であるロイ・ハワードに付き添われ、正木(まさき)由里(ゆり)と東堂(とうどう)貴臣(たかおみ)が、ワシントンのダラス空港からジョン・F・ケネディ国際空港へと軍用機で飛び、ニューヨーク入りしたのは、昨日の昼過ぎのことだった。
 けれども、一刻も早くマンハッタンに入りたいというユリたちの希望とは裏腹に、そこから先も厄介な手続きと、外国人でありまた民間人でもあるユリたちに不審を持つ石頭の軍人たちとの駆け引きで、無駄に時間を費やしていた。
 ユリ自身は軍の上層部と直接交渉に当たるわけにはいかず、話を通してくれているのはロイだったが、それでもマンハッタンへの通行許可を得ることは難航した。
 おそらく、マンハッタンの治安は、ユリたちが想像する以上に悪化の一途をたどっているのだろう。米軍の特殊部隊すら入り込むことをためらう危険地帯となれば、いくら大胆不敵なユリでも強引な真似はできない。ここは許可が下りるのを待つしかないだろうと、腹を括った。
 ユリたちとは別ルートでマンハッタンに侵入すると言っていた、天在(てんざい)日輪宗(にちりんしゅう)の僧、元信(げんしん)は、軍の許可なしに潜入するつもりだろう。
 実際、マンハッタンに残されていると噂のある連邦準備銀行(FRB)の金塊や、その他さまざまな金品を狙って、外部から密かに侵入を試みる者は後を絶たない。そのほとんどは、護りを固める米軍特殊部隊に容赦なく始末されてきたが、中には首尾よくマンハッタンに入り込んだ者もごく少数だがいるらしい。
 とはいえマンハッタンには、テロのあともいまだに正体のわからないウィルスが蔓延(まんえん)し、おまけに取り残され暴徒と化した市民が、治安を回復しようとする軍と小競り合いを繰り返している。シシリーやチャイニーズマフィアが幅を利かせ、ハーレムは最も凶暴化した暴徒の根城(ねじろ)になっているという話だ。
 内部に入り込んだところで、そこで生き延びるられるかどうかの保証もない。万一金塊を手に入れられたとしても、それを外へ持ち出すことはさらに至難の業だった。
 元信にどんな力があるにせよ、ニューヨーク潜入が、彼らにとっても命がけであることは間違いないだろう。軍にコネを持つユリたちと、どちらが有利とは言えないものの。
 ユリたちは今、軍のマンハッタン封鎖前線基地となっているジョン・F・ケネディ空港のターミナルの一室を占領している。
 ワシントンからロイとともに同行してきた、十名のデルタフォースの精鋭部隊も一緒だった。
 ユリと貴臣を警護するという名目で、ユリの実母の再婚相手で米国陸軍大将であるアーサー・キングから命令を受けている彼らは、ロイ同様、体裁のいい監視役だ。
 元信から《gate(門)》と呼ばれ、マンハッタンに秘められた大きな謎を解く鍵であるらしい貴臣を見張り、あわよくば永遠の力を得るといわれるその《お宝》を手に入れようというのが、彼らの本当の目的だ。
 だが、肝心のマンハッタンに眠る《お宝》の正体は、今のところ誰にもはっきりとはわかっていないらしい。そんなものが本当にあるのかどうかも、ユリは疑っていた。
 だとしても、それを狙って、天在日輪宗の僧たちや、チャイニーズマフィア、米国最大のIT企業であるコスモスウエブが操る忍者たち、そして米軍が、マンハッタンの闇で入り乱れ、しのぎを削り合っていることは確かなようだ。
 多分、二人がニューヨークへと旅立つ原因になった貴臣の異父兄、芙(ふ)緋人(ひと)も、その闘いの渦中にいるに違いない。
 ウィルスに侵されているという芙緋人を日本へ連れ帰り、安全な場所で治療を受けさせることが、貴臣の願いであり、そのためにユリも動いている。本当にあるかどうかすら漠然とした《お宝》などにはなんの興味もなかったが、事態は否応なく二人を暗闘の中へと巻き込もうとしていた。
 貴臣の顔つきが冴えないのも無理はない。けれど、貴臣の異変がそうした心労のためばかりではなさそうなところが、ユリの不安を掻き立てた。
 ユリは、むやみやたらと正体のわからないものを怖がる男ではなかったが、幼い頃から実の父親である関東最大の暴力団『正竜会(しょうりゅうかい)』の組長、正木竜造(りゅうぞう)の跡目をめぐって何度も命を狙われてきた経験のおかげか、危険に対する勘が恐ろしく鋭かった。
 今も、首の後ろがちくちくするような嫌な気配を感じている。ニューヨークへ近づくほど、それは顕著になってきていた。
 そして、そんなユリの憂慮とは裏腹に、ここへ来て貴臣の様子はまた変化を始めていた。
 とはいっても、悪いほうへではない。むしろ、ジョン・F・ケネディ空港へ軍用機が到着してからは、体調もずっとよくなっていた。アメリカへ入ってから時折、貴臣を悩ませてきた頭痛も、今はまったく起こらないらしい。こんな時、いつもなら真っ先になくなる食欲も普段より旺盛なぐらいで、昨夜のカロリーだけは高いが驚くほど不味い米軍のレーションもあっさりと平らげていた。
 おかげで顔の色つやもいい。よずぎるぐらいだと、ユリは溜息を吐く。ユリたちのいるターミナルのフロアを行き来する米兵たちが、たおやかな貴臣の四肢や、そのずば抜けた美貌へ、どんなまなざしを注いでいるかは、いちいち確かめるまでもない。
(まったく……)
 日本にいれば、『横浜・北辰会(ほくしんかい)』組長であるユリの愛人であり、凄腕のボディガードであることは、すでに周囲に知れ渡っている。いくら貴臣の容姿が人目を惹いたところで、あからさまに欲望に満ちた視線を向けられることは、まだ少なかった。
 それがアメリカとなれば、まるで事情が違う。ユリのことは、ただ目つきが鋭いばかりの若造とぐらいにしか思っていないヤンキーどもは、ちょっと油断すれば貴臣にちょっかいをかけたがった。
 軍内には女性兵士だって大勢いるんだし、わざわざ男に誘いをかける必要がどこにあるんだと、ユリのほうが頭痛がしそうだった。
 この場合、ユリの義父という立場のアーサーの権威や、ロイたちの護衛もあまり意味を成さないようだ。むしろ、護衛に付いているデルタフォースの連中までが、貴臣に、その格闘技や射撃の実力も込みで興味津々だった。
 もっとも、貴臣がその辺の女よりずっと魅力的なことは、ユリにだって否めない。
 魅力的という言葉も、今の貴臣には適当ではないかもしれない。そのなめらかに張りのある白い肌や、内に炎の色を孕んで濡れたような漆黒の瞳は、もろに男の下半身を刺激した。
 もっと問題なのは、本人に欠片もその自覚がないということだ。これに関しては、具体的に話をして貴臣に自覚を促すべきかどうか、ユリにはまだ迷いがあった。
 ニューヨークへ着いてからの貴臣の匂うような色香は、どう考えても尋常ではない。相手が貴臣でなければ、ユリだって、本人がその気でまわりの男を誘惑してまわっていると疑っても仕方がないところだ。だが、貴臣に限ってそれはあり得ない。
 貴臣が誘うのは、ユリだけだ。昼も夜も、やわらかな赤い唇で、細い指で、熱い素肌で、ユリを欲しがり、手慣れた娼婦みたいに巧みに追い上げようとする。
 かつて芙緋人たちにレイプされ、残酷に弄ばれた過去を持つ貴臣だが、受けてきた行為が残虐であればあるほど心は頑に快楽を拒もうとした。ズタズタに傷つきながらどこまでも無垢だったその凍える心を蕩かせ、情熱的な愛撫を教え込んだのは、高校教師をしていた貴臣の教え子だった八つ年下のユリだ。
 ユリの腕で、貴臣は初めて人と愛し合う悦びを知り、生来の資質だった焔のような激情と甘やかな艶を取り戻した。
 貴臣がユリに触れる手管もまた、ユリ自身が自分の好みを、この年上の美しい恋人に手を取って教えたものだった。それを駆使されるのだから、まだ二十四歳の若いユリが、やわらかな恋人の肌に溺れるのは仕方がない。
 夜ばかりか、朝、目を覚ましてからもさらに濃密なセックスを交わして、隣室で休んでいたロイを赤面させてしまった。
 別に、今さら恋人とセックスすることを恥らうようなユリではなかったが、貴臣の異常な状態に身を任せている今の状況が正しいことかどうかもわからない。
 色っぽい貴臣の所作を、この時とばかりに楽しんではいたけれど、さすがに少々不安を感じないわけでもなかった。かといって、ロイたちに、ことさら艶やかな貴臣の姿を見せつけてしまうことを反省もしていないのは、ユリのユリたる大胆不敵さだろう。
 トマトにオニオン、セロリをたっぷりと煮込んで、コンソメで軽く味付けしたスープを口に運び、ちょっと首を捻ってから塩コショウを足した。
 ユリが今いるのは、米軍が利用しているターミナル内の厨房のひとつだった。ここも当然、軍関係者以外は立ち入り禁止になっているが、昨日の夕食時にユリが散々文句をつけた調理兵に強引に設備を借り、ついでに食材も提供させている。
 ニューヨークが本場のベーグルは、ここでもふんだんに手に入った。中は弾力があり、外はカリカリのベーグルは、味も悪くない。そこへ定番のサーモンとクリームチーズ、色とりどりの生野菜を挟んだ。
 これらの食材は、ほとんどが西海岸から空輸されてきたものだ。空港を占領下に置く軍の特権だろう。
 封鎖されているマンハッタンには、軍から食糧の配給が行われているようだが、それらがどうやって分配されているかまでは保障の限りではないらしい。いずれにせよ、一歩マンハッタンに入り込めば、そこは弱肉強食の無法地帯だ。
 軍用らしい特大のワゴンに、できあがったスープの鍋とベーグルサンド、デザート用のフルーツを乗せ、ユリは貴臣たちの待つフロアへと戻った。
 ミーティングルーム代わりにしている一番広い部屋には、貴臣のほかに、ロイとケビン、グレッグ、スティーブといったデルタフォースの主だった面々が顔を揃えていた。
 ワゴンを押して部屋に入ってきたユリに、彼らは何事かと怪訝(けげん)そうな目線を向ける。
 それらを無視して、中央のテーブルでソファに寛いでいる貴臣の傍らへとワゴンを運んだ。
「貴臣。朝食だ……」
「うん……」
 朝、ベッドから起き出し、二人でシャワーを浴びてから、「朝飯を調達してくる」とユリに言われていた貴臣も、さすがに目を丸くする。
「これ……おまえが作ったのか?」
「ああ。米軍の調理兵に厨房(ちゅうぼう)を借りて作ってきた。ゆうべみたいな不味いものを食わされるのはごめんだからな」
 不機嫌なユリの顔をどこか呆れたように見上げた貴臣は、「おまえらしい」と小さく噴き出した。
「おい、そんなに笑うことねーだろ……」
「うん。ごめん……」
 本来、食べ物のことぐらいでわがままを言うようなタイプではない。ユリが誰のために朝早くから厨房を乗っ取っていたのか、ちゃんとわかってくれる貴臣は、とびっきり甘い瞳を返してきた。
 その恋人の無防備で本物の果実よりも美味しそうな唇を、惹き寄せられるまま、ユリはなんのためらいもなく啄む。
「……ば、かっ」
 とたんに真っ赤になった貴臣は、二人きりでもないのにとロイたちの目を気にして、怒ったようにユリを睨んだ。
 二人の時には、危ういほどの色香でユリを挑発するくせに、そういうところはちっとも変わらない。どんなに睨まれても可愛いばかりで、羞恥心のない男はよけいに鼻の下を伸ばした。
「食えよ」
「……う、ん」
 結局食べ物にごまかされて、ユリが甲斐甲斐しくテーブルの上に並べていくベーグルを、貴臣は大人しく手に取った。
 その様子を観察しながら、ユリはやっぱりらしくないなと内心に呟く。食欲があるのはいいことだけれど、いつもの貴臣ならユリが無理やり食べさせるか、脅しでもしなければ手をつけないような状況で、この素直すぎる反応はかえって胸騒ぎがしてならない。
「意外な特技があるんだな」
 感心したようにテーブルへ近づいてきたロイへ、気軽に「食うか?」と誘った。軍に属するロイたちはゆうべのような不味い食事にも慣れているらしいが、あれが彼らの味覚に合っているのかどうかは疑問だった。
「ああ。すまない」
「そっちのお仲間も、一緒にどうだ?」
 昨日、ワシントンから同じ軍用機で到着したとはいえ、デルタフォースの連中とは、名前を紹介されたぐらいだ。しかもアンチテロ専門の組織という特性上、それが本名かどうかも定かではなかった。
 無論、ユリと貴臣の素性については、彼らはアーサーから一通りのことは聞かされているのだろう。
「いただこう」
 数人が固まっている窓際のソファから、真っ先に応じて立ち上がったのは、スティーブという大男だった。
 身長は二メートルを超える。短く刈った銀髪にくすんだグリーンの虹彩を持ち、いかにも特殊部隊の軍人らしく喜怒哀楽の表情には乏しい。
 それでも極端に口数の少ないメンバーの中では、比較的よく話すほうだし、ユリたちに対してもある程度友好的だった。
 スティーブが立ち上がると、ほかの連中もつられたようにテーブルへ歩み寄ってくる。
「美味そうだな」
「確かに、ゆうべの飯はひどかった」
 口々に同意しながら、ベーグルとスープのカップへ手を伸ばす仕種を見れば、こと食事に関しては、彼らもユリと変わらない意見だったらしい。
 幾分打ち解け合ったように和やかな空気に包まれたところで、コーヒーを飲んでいるロイの横顔を窺った。
 そのコーヒーも、ユリがついでに淹れてきたもので、ゆうべの煮込んだような黒い液体とは格段に味も香りも違う。同じ材料を使って、ああも不味いものが作れるのも一種の才能だろうかと、ユリは料理中、何度も首を捻った。
「で、昨日、かなり遅くまでお偉いさんと話してたみたいだが、マンハッタンに入る許可は下りたのか?」
「ああ、下りた。装備が整えば、昼にはここを出発できる」
 淡々としたロイの答えに、一瞬で一同に緊張が走る。昨日、到着した時の応対では、下手をすれば許可が出るまでに一週間近くかかるかもしれないと思っていたから、予想外の早さにはユリも驚かされた。
 渋いロイの顔つきを見れば、かなり強引に許可をもぎ取ったらしいことがわかる。それが、ロイの婚約者であり、ユリの異父妹でもあるアリスのためだとしても、この男の献身的な協力には感謝すべきだろう。
 ロイ・ハワードは、アーサーの信頼篤い子飼いの部下であり、陸軍のエリート軍人だ。明るいブロンドの髪に冷ややかなアイスブルーの双眸の端整な容姿は、いかにも育ちがよさそうで、お堅く見えるが、案外融通が利くことも、ワシントンから一緒に行動するようになってわかってきた。
 面倒な軍との交渉も、この男がユリに手を貸してくれるうちは、大して頭を悩まされずに済むだろう。好んで敵を作らなくても、厄介な相手は山ほどいる。軍やアーサーとは、なんとか良好な関係を保っておきたいところだ。
 当面、ユリが考えなければならないのは、ニューヨークのチャイナタウンからいかにして芙緋人の情報を引き出すかと、貴臣の身にいったい何が起こっているのかということだった。
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