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日当たり良好、悪霊憑き

日当たり良好、悪霊憑き 1

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1.

(え……?)
 空気が、変わった。首筋辺りにひんやりと冷たいものを感じて、春野命(はるの みこと)はマンションのエントランスで足を止めた。
 バーン――!!
 そのせつな、頭上で何かが爆発したみたいな轟音が響き渡って、ばらばらとガラスの破片が降り注ぐ。
「命――っ!」
 クラスメートの滝川俊一(たきがわ しゅんいち)が、ガラス戸のきれいになくなった入り口へと、顔色を変えて駆け込んできた。
 滝川は、周囲に飛び散ったガラスの破片も気にせず、その場にうずくまった命を案じるように、制服の白いシャツの腕を取った。
「大丈夫か、おまえっ?!」
「う、うん、なんとか……」
 衝撃に硬直している小柄な体を慎重に抱え起こされて、命は弱々しく笑ってみせながら、心配性の親友に大丈夫だと答える。とたんに、右腕に鋭い痛みが走って、思わず悲鳴を上げていた。
「うぁっ、痛っつ……!」
「おいっ、ざっくりいってるぞ!」
 滝川といっしょに見下ろした命の腕は、白いシャツがガラスですっぱりと切れて、雪のような肌を斜めに裂いた傷口から、真っ赤な鮮血が見る見る滴り落ちてくる。
 どうりで痛いはずだと、命は女の子みたいなやさしいおもてをおっとりと顰めた。
 その額や絆創膏が痛々しいなめらかな頬へとやわらかにかかる髪は、陽光に透きとおりそうに淡い灰色だった。
 痛みに泣きそうに潤んだ瞳も灰色がかっていて、ほのかに血管の薔薇色を透かす肌の色とあいまって、全体に色素が薄い。
 小さな唇の色も桃の花びらのようなピンクで、命の容姿をよけいに可愛らしく見せていた。
 手も足も細く、身長も高校のクラスでは低いほうから数えたほうが早い。
 私服姿だと女の子と間違われることもしょっちゅうで、口の悪い滝川のからかいのネタになっている。
 一方、いつもつるんでいる滝川のほうは、さらさらした黒髪に、くっきりとした黒瞳も涼しげで、同じ整った顔立ちでも、命のように女の子に見られることは決してなかった。
 背も命よりは十センチ以上高く、スラリとした体つきだが軟弱なところは欠片もない。
 外見どおり、中身もしっかり者で、おっとりとしてかなり優柔不断な命の保護者役を務めてくれていた。
「大丈夫ですかっ?」
 派手な音を聞きつけて、廊下の奥から管理人らしい白髪の男が慌てたように走ってくる。
 命が今まで暮らしていたボロアパートとは違って、ここはセキュリティもしっかりしているらしい。
 滝川に抱えられた腕の中で、命はガラスが割れたのは自分の責任だとでもいうように手足を竦ませて、おずおずと目を伏せた。
「ガラス……俺が通ったとたんに割れちゃって」
 エントランスの惨状を見て駆けつけてきた初老の管理人に向かって、命はしどろもどろの口調で言い訳する。
「入居者の方ですか?」
「はい。……301号に越してきた春野命です」
 引っ越してきたばかりで、これからお世話になるはずの管理人に、初対面で悪い印象を持たれはしないかと、冷や冷やしながら返事をした。
「301号……」
 ところが、ルームナンバーを聞いたとたん、管理人の男の顔色がスーッと青ざめていく。
「あの……?」
「ともかく、怪我の手当てをしましょう。管理人室へどうぞ」
 どうかしたのだろうかと、不審に思った命が訊こうとする前に、管理人はなんだか話をはぐらかすみたいに促した。
 確かに、傷口からはまだ血が滴り落ちているし、これでは床を汚してしまう。
 命は傷の痛みよりも、まだガラスを割ってしまった申し訳なさのほうがまさっていて、管理人に言われるまま、滝川に支えられるようにして彼の後ろについていった。
 管理人室は、裏口の側にあった。ガラスの入ったカウンターの傍らに小さなドアがあり、そこから奥の部屋に入れるようになっている。
 中は四畳半ぐらいの狭い事務所で、スチールのデスクやテーブルとソファーが整然と並んでいた。そのすべてが、まだ真新しい。
 管理人に勧められて、命はまわりを汚さないように傷口を押さえたまま、滝川と並んで黒いフェイクレザーのソファーに座った。
「わたしは、ここで管理人をしております森谷(ル・もりや)です」
 男は名乗りながら、ロッカーから薬箱を出してきて、命の怪我の手当てをしてくれる。
「あのガラスって、人が通ったぐらいで割れるようなものなんですか?」
 命の隣から、滝川はどこか責めるみたいに森谷へ訊ねた。気を悪くされないかと、聞いている命のほうがハラハラする。
「あ、彼は俺の高校の友人で、今日は引越しを手伝ってくれてて……」
 滝川のほうを困ったように見つめ返す森谷に、命はうろたえて説明した。
「いや……よほどのことがなければ割れるようなものじゃないんだが……」
 森谷の答えは、どこか歯切れが悪い。それに妙に顔色も悪かった。
「何か、気になることでも?」
 滝川もそれを感じたように、さらに彼を問いつめたけれど、森谷はわからないと力なく首を横に振った。
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