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ENDRESS TALE

闇へ開く宿命(さだめ)の扉 8

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           ◆

 その深夜、ユリたちは再び《gate》の前へと現れた。そして、すでにそこに列を成している人々の姿に唖然となる。
 どこで調達してくるのか、食料を満載したトラックもいれば、何に使うのかもわからないがらくたを積んだリヤカーを引く老人の姿もあった。
 まるで朝市の買出し帰りみたいな光景は、多少殺伐とはしているものの、人間の営みそのものだ。
 これから異界に足を踏み入れるという緊張感は、そこに並ぶ人々の顔からはほとんど感じられない。
「なんだ、こりゃ……」
「確かに、ここがハーレムの出入り口らしいな」
 呆れ声を上げたユリに、ロイも幾分拍子抜けしたみたいに肩を竦めてみせる。
 いかに妖しげな入り口であろうと、内部では人間が生活しているなら食料や雑貨が必要なのは当然のことだろう。それらを商う者たちの商魂は逞しかった。
「いつも、新月の夜はこんな様子なのか?」
 そう言われれば、芙緋人や悪魔を警戒するあまりその異常性ばかりを気にして、そこに住む人間もいるという当たり前のことを見落としていたように思えてくる。
 自分が浅慮だったと反省しながら訊ねたユリに、小龍はこくりと小さくうなずいた。
 確かに、亜煉が芙緋人に会いに行くのに小龍を連れて行くぐらいだから、いくら物騒だと言っても、いきなり悪魔に取って食われるわけではなさそうだ。
 やがて、門のそびえていた場所にわだかまっていたもやもやとした渦の中心が透け始め、その向こうにハーレムの街並みが見えてくる。
 さすがに、破壊の爪痕はビルにもひび割れた通りにも凄まじいものがあったが、かといってマンハッタンのほかの地域と大きな違いがあるようにも思えない。
 待ちかまえていた商人たちもまた、忌まわしい渦の向こうへぞろぞろと歩きだす。あるいは、ドライバーたちはトラックに乗り込み、車ごとそこへ入って行く。
 ユリたち一行もその列に紛れ、派手な戦闘になるのではないかと緊張していた思惑とは裏腹に、あっさりとハーレムへ入り込んだ。
 ハーレムへ入ったあとは、また二人一組になってオズワルドと悪魔信仰の集団を探すつもりだった。
「なんだかのどかすぎて調子が狂うが、警戒だけはして行こう」
 ユリは緩みそうな自分の気を引き締めるように言った。ここで米軍の二人と、ユリと矢吹の二手に分かれ、小龍はユリたちが預かることにした。
 テロ以前の、あまりあてにはならない地図を頼りに出発しようとした刹那、半ばアスファルトを覆った瓦礫さえ蹴散らすような荒々しいバイクの集団がこちらへ向かってくるのが見えた。
 どうやらガソリンも問題なく手に入るらしいと、ユリはこっそりと嘆息しながら、目つきだけは鋭くそれを見守る。気づいたロイたちも足を止め、ユリたちの側まで引き返してきた。
 入り口からは誰でも入れるようだが、ちゃんと監視されていたのだろう。どこかに監視カメラでも隠してあったのかもしれない。
 バイクの集団は、ユリたちのわずか数メートル手前で停車した。ざっと見ただけで、二、三十人はいそうだ。
 映画にでも出てきそうな鋲打ちのブラックレザーのコスチュームや凶悪な顔つきは、とても友好的な人種とは思えなかった。かといって、ユリやロイはともかく、あの忍者を相手にしてきた矢吹とスティーブの敵ではないだろう。
 案の定、問答無用で襲い掛かってくるわけではなく、先導してきた十台ほどのバイクが左右に開くと、サイドカーに乗った白いチャイナ服の男が進み出てきた。
 ゆっくりと車から降りてくる姿は、忘れようとしても忘れられるものではない。まして、恋人と瓜二つならば当然だった。
「久しぶりだな、正木由里」
「ああ。……テロのウィルスにやられたと横浜の王から聞いたが、意外と元気そうだな」
 亜煉は、芙緋人が人間への興味を失ったようだと言っていたが、自分のことは覚えていたらしいと、ユリはひっそりと口元を歪めて笑った。
「小龍が一緒か……。亜煉には会ったらしいな」
「会ってきたよ。おまえが変わっちまったと嘆いていた」
 皮肉を込めたユリの言葉に、芙緋人はいっそうあでやかになった美貌へうっすらと笑みを拡げた。
 そんな表情はまったく違うのに、この男と貴臣はますます似てきたように思えて仕方がない。
「変わったかどうかは、自分の目で確かめるがいい。正木由里、ようこそ、ハーレムへ。歓迎する」
 そこには暴力的な気配など欠片もないのに、叩きつけてくるのは肌も粟立つほどの殺気と冷気だった。
 打ち捨てられた廃墟のような街が、矢吹の言ったとおりの異界であることを、ユリは強く感じながら固く拳を握りしめた。



To be continued.
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