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NOVEL

樹海の誘惑者 1

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《ヤクザ・正宗(まさむね)と殺し屋・十火(とうか)の禁断の愛は、迷える魂を救えるか?》

~アルルノベルス『夜の獣たち』より




           ◇

「まさ、むね……正宗(まさむね)っ! あぁっ……」
 体の深いところに、息もつけないくらい圧倒的な灼熱の塊があって、際限のない欲望を貪るように猛々しく動いている。
 篝(かがり)十火(とうか)は自分の中にいる男の名前を喘ぐように呼んで、狂おしく身悶えた。
 男の自分が、そのための器官でもない場所を開かれ、泣き叫ぶほど犯されている。こんな扱いには耐えられない。
 苦しくてたまらないはずなのに、同性のものを奥深く銜え込まされて、こみ上げてくるこの凄まじい愉悦と歓喜はなんなのだろう。
「たまらねーな」
 十火を見下ろして低く呟く、秀麗な男の顔は、うっすらと汗ばんで甘い快楽に精悍な浅黒い肌を上気させている。
 端整な美貌とは裏腹に、八島(やしま)正宗という男には、どこか凶暴な野生の獣じみたイメージがつきまとった。
 引き締まった長身に、明るい茶色の髪と、いっそう色素の淡い薄茶の虹彩。その風貌が日本人離れして見えるのも、南の島出身である彼の血のせいなのかもしれない。
 八島が変わっているのは、決して、そうした外見ばかりではなかったけれど。
(気持ちよさそうな顔しやがって……)
 人の体を好き勝手に使ってと恨めしく睨みながらも、瞳がじんわりと潤んでくるのは、八島が自分の中で蕩けそうに感じていることが、案外、うれしいのかもしれない。
 男が自分に向けてくるまっすぐな情熱が、いとしいのか、それともただ煩わしいだけなのか。八島の腕に毎晩のように抱かれて眠るようになっても、十火はいまだに自分の中の迷いを消せずにいた。
 このあやふやな感情こそが、人を愛しているということなのかもしれないけれど、まともな恋愛経験などない十火には、やはりよくわからなかった。
「あんたの中、俺のに絡みついてくるぞ……」
「仕方ないだろうっ……。おまえのが、でかすぎっ……あぁっ!」
 揺らぎ続ける気持ちよりもよほど正直に、惜しみなく与えられる愉悦に乱れる白い肢体の淫蕩さを、八島の口から指摘されると、なんだか口惜しくて。反論しかけた言葉もまた、さらなる快感の悲鳴へと変わった。
「ここ、好きだろう?」
 とっくに知り尽くされてしまった十火の弱みを、男相手のセックスに熟練した卑猥な腰つきで執拗に責められ、ひとたまりもなく絶頂へ追い上げられていく。
「あっ、あぁっ、バカっ、強い! そんなにしたら……っ」
「イけよ。俺も、もう保ちそうにない」
 十火のほうは、受け身のセックスにはまだ慣れていないし、八島に敏感だとからかわれるとおり、あまり我慢強いほうでもない。
 肉体も精神もタフな男に、喉も嗄れるまで泣きじゃくらされるのが常だったから、八島の珍しい言葉に、涙で霞んだ瞳をちらりと上げた。
「早いだろ……」
「あんたの体が悦すぎんだよっ!」
 さっき入れたばっかりだろうと、まるで抗議するような十火の台詞に、誰のせいだと言いたそうに叫んだ男が、組み敷いた下肢を獰猛に揺さぶってくる。
「正宗っ……あ――っ、あぁっ、あ――っ、あぁ――っ!」
 あと少しで極みまで達するという寸前、あれほど情熱的だった八島の動きが、何かに邪魔されたみたいに不自然にぴたりと止まった。
「おいっ!」
 こんなところでやめられたら、十火だって生殺しだ。人を抱いている最中に横見なんかするなと怒鳴って、部屋の隅を凝視する八島の視線を目で追った。
「正宗……?」
「悪い……」
 焦れた十火に低く謝って、八島はすぐに熱のこもった律動を再開する。
 体内の脆い粘膜を溶かす直截な刺激には抗えず、十火は何がなんだかわからないまま痺れる四肢をわななかせた。
「あんっ、あ、あ――っ……正宗っ!」
「十火……」
 シーツを掻く指を握り取られ、限界まで速まった抽送にビクビクと爪先が痙攣する。根本まで深々と抉られたせつな、飛び散った白濁に下腹を濡らした。
 わずかに遅れて、十火の内部に八島の熱がほとばしる。注ぎ込まれるように腰を遣われるたび、十火の中からもどくんどくんと残滓があふれた。
 いつもの充足したものとはどこか違う乱れた息をつきながら、なんとなく不完全燃焼な気持ちのまま、汗の伝う八島の胸に形のいい頭を預ける。
「すまない……」
 八島にも十火が不満を抱えていることがわかっているのか、また謝罪された。
 彼のせいではないことぐらいわかっている。ゆるやかに上下する分厚い胸の上で、仕方ないと、十火はやるせない溜め息を洩らした。
「何が見えた?」
「ん~。……ちょっと、な」
 十火を悦ばせる動きを止めた時、八島の目は確かに闇に溶けた部屋の片隅を見ていた。
 もちろん、だだっ広い八島の寝室に自分たち二人以外の誰かがいるはずもないし、気になるようなものだって落ちてはいない。
 八島の返事は、いつもの如く曖昧なものだった。この手の質問をして、まともな答えなど返ってきたためしはないから、十火もすでに慣れっこになっている。
「あんた、今日、時間あるか?」
「訊くまでもないだろう」
 東日本最大の暴力団、八州(はっしゅう)会の会長である八島の客分といいながら、実質的にはボディーガード同然の十火が、彼の側から離れることはない。
 親友を手にかけてしまい、ヒットマンとしての自分を見失った十火にとって、八島を守ることは、唯一残された生きるための理由だ。
 わかりきっていることをわざわざ確かめて、八島はうれしそうに唇を綻ばせた。
「付き合ってほしいところがある」
「ああ……」
 どこにでもついていくよと投げやりに答えた十火に、体の位置を入れ替えるように重い男の胸板が伸しかかってくる。
「その前に……もう一回、いいか?」
「おまえ、十代のガキじゃねーんだ。いいかげん大人になれよ……」
 その飽くことのない性欲はいったいどこからくるんだと、湿った太腿に押しつけられてくるすでに興奮した硬い性器に、十火はうなじまで真っ赤になった。
 ニヤリと唇を笑みの形に唇を歪めた八島は、薔薇色に染まった頬へ悪びれもせず気恥ずかしいキスを落とした。
「俺は男盛りなんだよ。枯れたじじいになるにゃ、まだ早い」
 年下といったって、十火とほんの一年あまりの差のくせに、若さを誇った男は、大きな熱い掌でふらちに下腹をまさぐる。
 薄茶の瞳に浮かんだ淫靡な色が、ますます深くなった。
「あんただって、ぜんぜん足りてねーじゃないか」
「言うなっ!」
 わざわざ声にしなくていいとわめいて、十火は八島の無駄口しか言わない唇へと凶暴に噛みついた。

           ◇

 八州会会長のための防弾ガラスが入った特別仕様のベンツのハンドルを、元暴走族のカズが握っている。
 しなやかな細身の体を常に黒っぽいジャケットとブラックジーンズで包んでいる十火とは対照的に、オレンジのパンツにブルーのスカジャンと、相変わらず派手な服装だった。
 助手席に座った村田(むらた)は落ち着いたダークブラウンのダブルのスーツ姿だから、車内ではよけいにカズだけが浮いて見える。
 もっとも、周囲に強烈な雰囲気を発散している八島の側で、誰がどんな格好をしていようと、気にする者などあまりいないだろう。
「気に食わないな」
 八島のすることで、十火が気に入ることなんて滅多にありはしなかったけれど。
 拗ねて男から顔を背けるように車窓ばかりを見つめていると、スモークガラスにうっすらと映り込んだ八島が、なだめるように唇を綻ばせた。
「そう怒るなよ」
「やっぱり見えてんじゃねーか」
 十火が責めているのは、早朝に訪問した世田谷にある豪勢な屋敷での、その家の主人らしい恰幅のいい壮年の男と八島とのやり取りのことだった。
「まあ、そういうこともあるさ」
 いつもは十火の問いを適当に濁してかわしてきた八島が、男の前ではこの世ならぬものが見えていることを隠そうともしなかった。
 だからこそ、側で聞いている人間には、恐ろしく奇妙な会話に思えただろう。八島の特殊な能力に関する噂を知らなければ、二人とも頭がおかしくなったと思われても仕方がない。
 十火だって、まだ半信半疑のところはあった。自分には何も見えないのだから、理解しろというのがどだい無理な話だ。
 もっとも、八島から理解を求められたことは、一度としてなかったし、むしろ、十火にさえひた隠しにしているように見えたけれど。
「今朝のオヤジ、八州会の先代だな」
「ああ」
 八島に関東最大の広域暴力団である八州会の会長の地位を譲った男は、死んでいたわけではなかった。重責から解放されて、今はのんびりと隠居生活を楽しんでいるらしい。
 日も昇りきらないうちから、連絡もなしに屋敷に現れた八島を、男のほうもきちんと身支度をして待っていたのは明白だった。
 そして、男は八島に、樹海に埋められた義弟の骨を拾ってやってほしいと依頼した。三年前に離縁した妻が、先日亡くなり、毎晩のように夢枕に立って哀願されるらしい。
 おかげで、殺されたヤクザの骨を拾いに、世田谷から富士に向かって、こうして車を走らせているわけだった。
「引退するような年じゃないだろう。……おまえのため、か?」
 先代の会長は、十火には五十代半ばくらいに見えた。ヤクザというよりも大企業のCEOか高級官僚といったイメージのスマートな色男で、ホモの八島との関係まで疑いたくなった。
 ただ八島の態度を見ていると、双方に相手への信頼と尊敬の念はあっても、色っぽい感情はなさそうだ。
 あんな男が、なぜ八島みたいな若造に跡目を譲って隠居してしまったのか。やはり、八島のほうに何か事情があるようにしか思えないと、十火は疑いのまなざしを向けた。
「疲れるんだよ、こういう仕事は。俺だって、早く引退したい」
「すりゃいいじゃないか」
 殺し合いをしても、会長の地位を欲しがっている連中はごまんといるのだ。気が乗らないなら辞めてしまえと、十火は無責任に唆した。
「そうだな。あんたと二人きりで、面白おかしく生きるのも悪くない、か」
 十火のいいかげんな挑発を真に受けたみたいに、八島が真剣な顔で見つめるから、冗談だろうと薄い肩を竦める。
「人を巻き込むな」
「ひどいな、俺を見捨てるつもりなのか?」
 相手を試すみたいな軽口の応酬も、八島との間ではいつものことだった。
 十火が屋敷に連れてこられた最初の日から、八島に「痴話ゲンカに出てくるな」と釘を刺されているから、村田もカズも黙って聞いている。
 同性の恋人同士の口ゲンカなんか面白くもないだろうから、聞き流しているといったほうが正確かもしれない。
「引退する気なんぞ、これっぽっちもないくせに」
「……今は、な」
 淡々と肯定する八島のおもてからは、ギラついた野心など欠片も感じられない。
 この男が、なんのために疲れるばかりの八州会の会長職に就いているのか、十火にはまったくの謎だった。
「何、考えてやがる」
「あんたと二人で静かに暮らしたいっていうのは、本心だよ」
 ひどくやさしい声音に耳元で囁かれると、寒気とも快感ともつかない感覚にぞわっと背筋がざわついた。
「バカ野郎……」
「組長……。そろそろです」
 気色の悪い声を出すなと十火がなじりかけた時、カズが遠慮がちに八島を促した。
 八島の子飼いの舎弟たちは、彼が会長に就く以前のままに「組長」と呼ぶ。八州会傘下の何万人という構成員たちのオヤジになっても、八島は自分たちのオヤジだという気持ちの表れなのだろう。
 ホモでお調子者のこんな男でも命懸けで慕ってくれる、可愛い連中だ。少なくとも八島がここにいる理由のひとつが、彼らのためであることは間違いないだろう。
 気がつくと、寒々とした県道に沿って黒っぽく広がる原生林が見えていた。富士の裾野の青木ヶ原樹海だ。
 ここに入って自殺する者も多いと聞くが、用済みになったヤクザを不法投棄するにはお誂え向きの場所らしい。
「わざわざこんな寒い時期にこなくても。ハイキングしてる連中だっていないぞ」
 観光シーズンには、まだ少々気が早すぎる。どうせ骨を拾うだけなら、何も今すぐでなくてもいいんじゃないかと、十火は不平を鳴らした。
「だからいいんだよ」
 いつものように軽薄に答えるはずの八島の口調が、どこか重かった。振り返ってみると、なんだか顔色が悪い。
 これはやはり、そういうことなのだろうかと、俯きかげんになった八島のおもてを窺った。
「いるのか?」
「うじゃうじゃ、な」
 いくら見えなくても、信頼している相手にそんなふうにはっきり言われると、こちらまで気分が悪くなる。
「骨を拾いに行くのは、一人分だろう?」
「勝手についてくるんだ。俺だって相手にしたかねーよ」
 ベッドの中では百戦錬磨の十火をげっそりさせるほど、八島は肉体的にも精神的にもタフな男だ。
 その男が、ここまで青ざめるということは、おまけのほうがとんでもない数なのだろうと、嫌な想像はついた。
「前に来た時は、三日間、樹海を出られずに彷徨いましたから……」
 よほどひどい目に遭ったのか、陰気な声音で低く呟いた村田の横では、カズが運転しながら小さく念仏を唱えている。
「大丈夫なんだろうな?」
「訊くな。俺は、樹海とは相性が悪いんだ」
 前会長の義弟以外にも、八州会にここに埋められたヤクザが山ほどいるなら、現会長の八島だって無関係とは言えない。相性が悪いのも、さもありなんだ。
「なんで、引き受けたりしたんだよ?」
 以前にも来たことがあるなら、ヤバいとわかっていたはずだ。断ればいいだろうと、むきになって八島を責めた。
「錦織(にしきおり)を埋めた場所は、死んだ高梨(たかなし)しか知らないんだ」
「……おまえの責任だ」
 一瞬、沈黙したあとで、十火は、高梨を殺したのはおまえだからと冷淡に決めつけた。
「あんただって、連帯責任だろう」
「ちくしょうっ……」
 八島の命令で、引き金を引いたのは十火だ。銃弾は高梨をわずかにそれたが、その狙撃のショックで、もともと心臓に持病のあった八州会の幹部は、殺すつもりなどなかったのに勝手に息の根を止めてしまった。
 どこまでも迷惑なタコオヤジだと、十火は忌々しく死人を罵った。ひょっとしたら、高梨の亡霊にも聞こえたかもしれないが、恨みを買うのは八島が先だろう。
「姐さんにしたって、実の弟が成仏できずに樹海を彷徨ってるってのは、忍びねーんだろう」
「ゆうべ、いいところで邪魔をしたのは、その姐さんだろう?」
 もう少しで最高に気持ちよくイけるところだったのに、肝心の八島は動きを止めてしまった。おかげで不完全燃焼のセックスだったと、十火は恥じらいもなく文句を言う。
 とはいえ、そのあとで男盛りのヤクザ者に腰が抜けるまで抱き尽くされて、まだ中のほうがヒリヒリしているけれど。
「根に持つなよ」
「持ってねーよ」
 卑猥にニヤつく八島は、あの時の自分の顔でも思い出したのだろう。そう考えると、邪魔に入ったものを恨むのも、どこか気まずくなって、十火はますますふて腐れた。
「カズ、停めろ」
 何かを見つけたように、八島がベンツを道端に停止させた。左手の原生林の奥を透かし見る目つきは、滅多なことには動じない彼らしくもなく険しい。
「ここからは歩きだな」
「迷ったらどうする? 携帯のGPSでも使うのか?」
 死体を埋めるなら、道路や遊歩道のすぐ脇というわけにはいかないだろう。八島の表情からも、かなり樹海の中へ分け入っていくようだ。
 村田が言うように、こんなレジャー施設も多いところで本当に三日も迷ったりするものか、普通なら疑うけれど、こと八島の場合はないとは言いきれない。
 一応、携帯の電池が保つ限りはGPS機能が使えるはずだと進言してから、八島が携帯を持っているところを見たことがないのを思い出した。
「携帯は使えないな。俺は機械物とも相性が悪い」
「おい、今どき携帯ぐらい……」
 本当に持っていないのかと、八島の真顔を覗き込んだ。まさか、いい年をしたオヤジみたいに、携帯の使い方がわからないわけじゃないだろう。
「俺が使うと、おかしなノイズが混じるもんでな」
 苦笑を浮かべる八島に、どんなノイズかは確かめる気もしなかった。仕方ないと、十火は自分の携帯をポケットから出して確かめる。
「篝さん。多分、組長の側にいらっしゃれば、同じ現象が起こると思います」
 言いにくそうに口を挟んだ村田は、ずっと八島の近くに仕えていて、実際に嫌な経験があるのだろう。
 十火も携帯を利用することはすぐに諦めた。
 そういえば、八島の身辺を護衛している間は、携帯を使ったこともなかった。八島のおかげで、女からの呼び出しもなくなると、案外、必要のないものらしい。
「錦織にでも案内させるさ」
「勘弁しろよ」
 いざとなったら、拾いにいく骨の主に案内させると豪語する八島に、十火は幽霊なんかあてになるのかと、頭痛のしそうなこめかみを押さえた。
「村田、俺たちが夜になっても戻らなかったら、若い奴らに招集かけて捜しにこい。目印は用意しておく。ただし、ほかの幹部に気づかれるような騒ぎにはするなよ」
 八島が樹海になどいると聞けば、八州会会長の地位を狙うほかの幹部や敵対組織が、嬉々としてヒットマンを送り込んでくるだろう。自分の墓地に片足を踏み入れているようなものだ。
 死んだ人間の上に、生きている人間まで敵にまわすことになれば、これほど厄介なことはない。
「はい。……組長も、どうかお気をつけて」
「おお」
「篝さん、お願いします」
 村田は、八島に引きずられるように車を降りる十火へも、深々と頭を下げた。八島の腹心としては、身を裂かれるような想いだろう。
 かといって、万一のことを考えれば、八島の代わりを果たせる村田を巻き込んでしまうことはできない。
「無事を祈っててくれ」
 これが人間相手のことなら、自信を持って請け合う十火だが、樹海と幽霊の相手は勝手が違うと、力なく答える。
 そして、十火は八島とともに原生林へと足を踏み入れた。
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