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花と牙

花闇 ~退魔師・能勢頼人の誘惑~ 2

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        陽光

 午後からは、いつもものぐさな頼人も外まわりの仕事があり、大介の運転で出かけた。
 スピード違反もろもろの前科があり、三浦から「絶対にハンドルを握るな」と釘を刺されている頼人の覆面パトカーを運転するのは、すっかり新人の大介の役目になっていた。
 しかし、今日の大介は運転中もずっとどこかうわの空で、危なげなくこなしているものの、からかってもろくに反応すらなくて、頼人は面白くない。
「大介……」
「あ……次は、どこへまわりますか?」
 捜査中の事件現場のビルを出て、行く先も聞かず通りに出ようとする大介に声をかけると、やっと頼人の存在を思い出したみたいに振り返る。
 この様子では、現場を見たところで何も頭に入ってはいないだろう。これ以上、大介を連れまわしても無駄らしいと判断して、頼人は予定を変更することにした。
 そうでなくとも仕事をしたがらない頼人のフォローを務める三浦には、また苦情を言われるだろうが、大介をなんとかしてくれと押しつけたのも彼だ。
 大介の霊気が不安定なのは、頼人への感情に揺らいでいるせいだとも言われた。
 でも、そういうことならお互い様だ。頼人の霊気の乱れを三浦が感じ取れないのは、大介と違って自分でコントロールできているからというだけにすぎない。
 むしろ、この一週間に限っていうなら、大介に恋い焦がれていたのは、頼人のほうかもしれなかった。
 抱きしめてもくれない。キスひとつしていない。焦らされることに慣れていない体は、そろそろ限界に近い。だいたい、頼人のほうからこんなに欲しいと思った相手は、大介が初めてだった。
 車窓から目を向けた先に、都合よくホテルの派手な建物が見えて、質のよくない誘惑が頭をよぎる。
「そうだな……。久しぶりだし、少し、二人きりになろうか。そこにでも入るか?」
 思ったままを口に出した頼人に、視線を追ってラブホテルを見つけた大介は、期待どおり、見事なほどうろたえた。
「な、なに言ってるんですかっ? まだ勤務時間中ですよっ」
 教会での事件のあと、初めて大介と体を重ねてから約一ヶ月、その間、珍しく事件が続発していつになく忙しい日々を送っていたとはいえ、大介と満足なセックスができたのは、ほんの数日だった。
 よけいな心配をした三浦たちが、職場の親睦という名目で、しょっちゅう大介を飲みに連れまわしていたせいもある。
 人のいい大介が、誘いを断れないのは、なにも頼人相手に限ったことではなかった。
 けれど、さすがに一週間は大介にとっても長かったのか、その反応に頼人への後ろめたさと欲望を見透かされたみたいな焦りを感じて、小さく笑った。
「夜ならいいのか?」
「……それは」
「拒絶しなくなったな……」
 刑事の仕事には、基本的に朝も夜もない。事件を追っていれば、数日、不眠不休になることだってあり得た。もっとも、ほかの課では対処しきれなかった超常事件を追う4課の性質上、そういう差し迫った事態になることは、比較的少なかったけれど。
 ただ、その性質から勤務時間があやかしの跋扈する夜にずれ込むのもしょっちゅうだったから、よけいに恋人と睦み合う機会は減ってしまう。仕事中はキスひとつすることもためらう生真面目な大介が相手なら、なおさらだった。
 それでも、自堕落で奔放な頼人の誘惑に、初心すぎる拒否反応を示したり、冗談じゃないかと疑ったりすることはなくなった。大介自身に、頼人の恋人としての自覚ができてきたせいだろう。
「ボスッ……」
「怒るなよ。からかってるわけじゃない。わたしは、おまえがその気になってくれて、うれしいんだから……」
 大介の純情を試して、弄んでいるわけではない。その素直さがうれしいだけだと言い訳すると、納得しない表情でむくれられた。
「からかってますよ、ボスは……」
 最初からホテルに入るつもりなどなかったくせにと責められて、なだめるようにその頬を軽く啄んだ。
 確かに、頼人が誘ったところで、大介が応じるわけはないと知っていた。けれど、それでも我慢できないくらい彼が欲しくなっているのも事実だとは、大介は思いもしないのだろうか。
「機嫌直せ。ラブホが嫌なら、教会に行こう」
「え……?」
 ようやく本来の目的を告げた頼人に、大介はラブホへ誘われた以上に怪訝そうな顔つきになる。
「今朝、三浦たちと見てきたんだろう?」
「ええ。でも、もうあそこには……」
 その先の言葉を濁した大介のおもてに、言いようのない苦さが浮かんで、三浦の洞察が正しかったことを確認した。
 幽霊が怖くて何週間も自分のマンションに帰れなくても、その圧倒的な力で相手を消滅させることなど考えもしない男だった。
 だいたい、十キロ四方の幽霊、妖物を一瞬で消し飛ばすほど馬鹿げた霊力を持っていて、か弱い女の幽霊一人を怖がるのもどうかしている。
 自身がこの世ならざる存在であるがゆえに、大介にとって、幽霊も魔物も人に等しく、むやみに傷つけることなどできない存在だった。それが、いっさいの魔を容赦なく斬り捨ててきた頼人とは違うところだ。
 ほんの数ヶ月前まで、自分を少し変わっているものの普通の人間だと思っていた大介が、突然目覚めてしまった強大な力と半妖というおのれの素性に戸惑うのも無理はない。
 大介の宿命も心も、大介のものだ。三浦は頼人に任せると言うけれど、いくら同じ化け物じみた力を持っていたところで人間の頼人に、理解が及ぶわけもない。
 頼人にできるのは、せいぜいこの危険な男といっしょにいることぐらいだ。
 だから、側にいる。斬ると脅されても自分を求めてくれた大介の手を、何があっても離しはしない。
「あの場所を封じたのは、わたしとおまえの力だ。だから、いっしょに見にいこう……」
「ボス……はい」
 三浦たちではなく、自分ともう一度あの教会へ行こうと誘う頼人に、大介は戸惑いながらもおとなしく従って、車を走らせた。
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