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花と牙

花闇 ~退魔師・能勢頼人の誘惑~ 4

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        雨情枝垂

 いったん4課に戻っている時間さえ惜しくて、覆面パトカーから、大介といっしょに直帰すると連絡を入れた。
 携帯電話で応じた三浦は、案の定、わざとらしい溜め息をついてみせる。
「で、話はしてもらえるんですか?」
「そう言っただろう……」
 直帰を見逃す代わりに、大介の処遇を本人とちゃんと相談してくれと念を押されて、当然、そのつもりだと素っ気なく応じた。
「どうだか。……あいつの体に夢中になって、忘れんでくださいよ」
「信用がないな……」
 ひどく穿った言い方をする三浦に、この腹心の部下に、自分はいったいどういうふうに見られているのかとぼやく。
「あるわけねーでしょ。いくつの時から、ボスを知ってると思ってるんです?」
「わたしが十九……」
 日本有数の古い退魔師の一族の当主としての表の顔も、魔性さえ誑かす裏の顔も、この男にはすべて見られている。何も隠す必要のない部下との関係は、煩わしい時もあるけれど、それなりに心地よかった。
「とりあえず、今夜は、大介の部屋に結界は必要ない。渡にも、ゆっくり休めと伝えてくれ」
「了解……。できりゃ、二、三日、泊めておいてください。その間に、真柴さんの新しい結界を試してみますんで」
 4課専属の鑑識であり、装備の担当もしている6係に、大介のために、簡易結界のグレードアップを依頼したのも、三浦の発案だった。むさ苦しい外見に似合わず、この男の仕事ぶりは、スマートで無駄がない。
「わたしの部屋に、泊めていいのか?」
「緊急避難ですよ」
 頼人のことを、昔から保護者以上に案じてくれる男に、大介との関係を認めるのかと確かめると、やはりけんもほろろな答えが返ってきた。
「石頭……」
「あんたがやわらかすぎるんです。ボスの悪癖のせいで、4課の全員が職場を失って路頭に迷うなんてごめんですよ」
 そうでなくとも、うさん臭い仕事をしている4課のことを、快く思っていない警察官僚は多い。いつ潰れてもおかしくないのだからと脅す三浦の嫌みの途中で、頼人は電話を切った。
「結界って……?」
 会話の内容を聞き咎めた大介が、ドライバーシートから助手席の頼人に不安そうなまなざしを向けてくる。
「教会でおまえが力を解放して以来、マンションの部屋に三浦たちが結界を張っていた。おまえは、暴走を警戒した見張りだと思っていたみたいだが……」
「あ……」
 ただの監視だけではない。部屋ごと結界を張っていたのだと言われて、大介にも心当たりがあったのか、納得した顔つきになった。
「それだけ、おまえの霊力が増しているということだ。あのマンションで使えるちゃちな簡易結界じゃ、じきに保たなくなる」
「俺は……」
「まあ、元々力を持つ家系に生まれたわたしたちと違って、おまえはその手のことは、なんの訓練も受けていないし、修行をしたわけでもない。霊力をコントロールできなくても、当然だ」
 また責任を感じたように身を竦ませる大介に、頼人は、おまえのせいじゃないと慰めた。こうなることがわかっていたのに、今まで放置していた頼人のほうが、むしろ監督責任は大きいだろう。
「でも、それじゃ、まわりに迷惑がかかるんですよね……」
「今は、三浦が苦情を言ってくるぐらいだがな……」
「どうすれば……」
 力を抑えるどころか、いまだに解放することもままならない大介が、途方に暮れるのも無理はなかった。
 感情だけで力を爆発させればどうなるかは、大介ももう嫌と言うほど身に沁みているだろう。
「教えてやるよ、力のコントロールも、使い方も……」
「ボスが……?」
 そのぐらいなら力になれるからと請け合った頼人へ、大介はあからさまに不審な表情を向けた。
「なんだ、その不安そうな顔つきは? おまえも、わたしがセックスにかまけて何もしないと思っているのか?」
「え?」
 さすがにそこまでは考えていなかったのか、頼人の言葉の意味を察して、大介は見る見る真っ赤になる。
「なんだ、違うのか。三浦のヤツがよけいな心配をするから、おまえもてっきりそうかと……」
「三浦さんとは、ずいぶん親しいんですね?」
 三浦の名前を出すと、大介はまた少し目つきを変えた。
 その疑うみたいな口調が心外で、おとなしげな外見とは裏腹に恐ろしく嫉妬深い恋人へ、頼人は軽く肩を竦めてみせた。
「妬いてくれるのか? 残念ながら、あいつは今でも亡くなった女房一筋の根っからのノーマルだ……」
「それは、渡さんから聞きました」
「あいつと出会ったのは、もう十年以上も前だからな。あいつには、まだ時々、わたしが十代の子供に見えるらしい……」
 渡から釘を刺されても、大介は信用していなかったらしい。
 頼人の過去をほとんど知らない大介にまで、これほど警戒されるのは、身から出た錆というものだろうかと、内心、嘆息する。そして、三浦にとって、自分はいつまでも保護者の必要な子供なのだと説明した。
「警視庁で知り合ったんじゃなかったんですか?」
「いや、実家で退魔師としての仕事をしていた頃だ……」
「ボスの実家って能勢家、でしたね。ボスは、源頼光の生まれ変わりと言われた最強の退魔師だったんでしょう? なぜ、刑事になんかなったんですか?」
 三浦との関係への疑いはあらかた解けたのか、大介は好奇心に駆られたように、さらに頼人の過去を知りたがった。
 確かに、頼人のような特殊な環境は、誰にとっても珍しいものなのだろう。
「聞きたいか?」
「あ……。いいえ、よけいな詮索でした。すみません」
 不躾な質問だったと気づいたように、根が控えめな大介は恐縮して頭を下げた。
 意地が悪い訊き方だった。恋人の過去を知りたいのは当然で、大介に悪気があったわけでもないのに……。
「いいさ。おまえに興味を持たれるのは、悪い気はしない」
 気後れしたように目を伏せている大介の尖った顎をすくい、甘やかす仕種でそっと唇を重ねた。
「聞きたいことも知りたいことも、ちゃんと教えてやるよ。だから……もう、わたしを焦らすな」
「そんなつもり……」
「無意識にやってるから、おまえはよけいに質が悪い。一週間も放っておかれた、わたしの身になってみろっ……」
 わざと頼人を焦らすような手管が、大介に使えるはずもない。だからこそ、責めることもできないだろうと、頼人は溜まりに溜まった恨み言を吐き出した。
「仕事の時は、ほとんどいっしょでした……」
「仕事中は、おまえ、キスひとつしてくれないだろう……」
「当たり前です。そんな、不謹慎な……。あ……」
 キスだろうとできるわけがないと言い返して、大介は、今頃になってようやく頼人の不満が理解できたように、ひどくうろたえた。
「……すみません」
 申し訳なさそうに謝る顔は、案の定、頼人の不安も、焦燥も、考えてさえみなかったらしい。
 人の身には理解できない負い目を抱える大介が、自分の感情すら持てあまして、手一杯になっていることはわかる。それで三浦を悩ませるほど霊気を乱しても、仕方のないことかもしれない。
 しかし、いくら身持ちの悪い頼人でも、感情くらいはある。恋をする気持ちは、初心な大介ともたいした違いはなかった。
「謝らなくていいっ、バカッ……」
「ほんと、バカですね」
 自分一人で思い悩んでいたことの愚かさをやっと悟ったように、大介はいくらか吹っ切れた声音で呟き、車のエンジンをかけた。
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