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●恋

乱恋 2

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 広すぎるほどの座敷に招き入れられて、大吾の傍らに正座した蒼一郎は、巨大な座卓の向こうにいる権藤へ深々と頭を下げた。
 相手が水上組会長だろうと、大吾が自分と祖父以外に頭を下げたりしないことはわかっている。大吾の代わりに、せめて自分が礼儀を尽くしているつもりだった。
 それに、権藤のほうも、大吾のことなど人間の言葉が通じないケダモノくらいにしか思っていないだろう。
「久しぶりだな。蒼一郎君」
「ご無沙汰しております」
 蒼一郎が権藤に会うのは、六年前、黒龍会に一人で殴り込んだ大吾の懲役刑が決まり、その報告に病身の祖父の代理として訪れて以来だった。
 その時も、若宮組はいっさいの弁明を許されず、あまつさえ大吾の先走った行為の責めを負わされた。
 祖父の功績すべてを剥奪され、水上組幹部の末席へと追いやられたばかりでなく、五億の金がペナルティとして権藤に支払われた。
 権藤が、その金を黒龍会に渡したのは間違いないだろう。そうしなければ、黒龍会も納まりがつかなかったはずだ。
 五億どころか、数千万の金さえ用意できなかった蒼一郎に、金を工面する方法を教えてくれたのは、弁護士の武藤だった。
 あの時、武藤が力を貸してくれなければ、蒼一郎の身も無事ではすまなかっただろう。現に、水上組の幹部の中には、わずかな金と引き換えに蒼一郎を買いたいと取引を持ちかける者さえ少なくなかった。
 大吾という絶対の守護者を失った当時の蒼一郎は、それほど危うい状況に置かれていた。
 だが、大吾は若宮組に帰ってきた。今の水上組には、大吾の目の前で蒼一郎を買いたいと言える者など一人もいない。
 権藤でさえ、腹の中ではどれほど大吾をバカにしていても、その圧倒的な暴力には脅威を感じているだろう。
 そして、大吾の暴走を止められるのは、この世に蒼一郎一人しかいない。
「今日は、武藤先生はいっしょじゃないのか?」
「ええ。今日はほかに仕事がありまして、失礼させていただきました」
 丁寧に落ち着いた口調で答える蒼一郎に、権藤は狡猾そうに目を細める。
 年は、祖父よりひとまわりは若いだろう。水上組の会長の地位に就いたのは、まだ四十代の時だったと聞いている。髪はすっかり白くなっているけれど、肌には艶があり、何より眼光に迫力があった。
 大吾とはタイプは違うが、いかにも粘着質なヤクザらしい風貌だった。水上組は往時の力を失ったとはいえ、長年、あの黒龍会を牽制してきた男だ。権藤も並みのヤクザではない。
「若宮組長から手紙はもらっている。若頭の剣持が、若宮組を継ぐそうだな」
「はい。それで今日は、剣持ともども権藤会長にご挨拶に伺いました」
 本来なら、祖父自身で大吾を連れてここへ出向くべきだった。しかし、入院中の祖父にその役目は務まらないから、唯一の孫である蒼一郎が代わりをするのは仕方がない。
 死期の迫った祖父の病状を考えれば、一日も早く、大吾の組長襲名を水上組に認めさせる必要があった。
 若宮組のような小さな組が、どこにも属さずに存続していけるほど、今のヤクザ社会は甘くはない。大吾にどれほど力があろうと、だ。
「なぜ、剣持なんだ? 若宮組長には、君という立派な跡目がいるじゃないか?」
 来たなと、蒼一郎は顔色を変えないまま、まっすぐ権藤を見つめ返した。水上組が、大吾の組長襲名に物言いをつけてくることは、当然、予想していた。
 大吾は危険だ。かつて、大吾一人に事務所を壊滅させられた黒龍会には、いまだに深い遺恨がある。まして、大吾のほうには彼ら以上の私怨があった。
 その点、蒼一郎は少しばかり利口なただの子供だ。いざとなれば、黒龍会に人身御供に差し出せばいい。権藤なら、そこまで考えているかもしれない。
「僕は、まだ高校生です。組を背負う器量はありません」
「倒れた若宮組長の代理としてここへ来た時、君はたった十歳の子供だった。あの時のことは、よく覚えているよ」
「何も知らない子供でした。お恥ずかしいです」
 六年前、大吾の起こした事件の代償として、水上組が若宮組に求めてきたのは、祖父の組長引退と若宮組の解散だった。
 おそらく、なんとしてでも若宮組を潰したい黒龍会側の要求だったのだろう。しかし、蒼一郎は「祖父を引退させるなら、若宮組は最後の一人になっても黒龍会と戦います」と権藤相手に啖呵を切った。
 権藤は折れ、ペナルティとして課せられたのが五億円の支払いだ。それだって、決して楽なことではなかった。
 大切な者たちを失いながら、命懸けで意地を張りとおした祖父を守りたかった。大吾が帰ってくる場所を、なくすわけにはいかなかった。
 本気で体を売ろうと思ったことも、一度や二度ではない。「腐った下種どもに食いモノにされるだけだ」と武藤に止められたけれど。
「いくつになった?」
「十六歳です」
「君なら十分、若宮組をまとめられる」
「それは剣持の仕事です。僕は、ヤクザが嫌いですから」
 きっぱりと言い放った蒼一郎に、一瞬、権藤は言葉を失った。信じられないような目つきで蒼一郎の秀麗なおもてを見つめ、ふいに膝を打って大笑した。
「はっはっは……ヤクザは嫌いか? わしの目の前でそんなことを言ったのは、君が初めてだ。なるほどな」
 権藤の声音がどこか残念そうに聞こえて、もしかしたら大吾の当て馬にするだけでなく、少しくらいは本気だったのだろうかと、蒼一郎は老獪なヤクザの顔を見直す。
「仕方がないな。剣持のことは、幹部たちと協議しよう。ただし……剣持と若宮組が再び何か問題を起こした時は、君にも相応の責任を取ってもらう」
 大吾の行動の責任を取れと、権藤は蒼一郎に釘を刺した。水上組としては、当然の警戒だろう。しかし、その責任をたかが高校生の蒼一郎一人に負わせるというのは、ずいぶん過信されたものだった。
「どうだ?」
「もちろん、そのつもりです」
 もとより、組と大吾に何かあれば、放っておけるような蒼一郎ではない。すべて覚悟の上だと、権藤に応じた。
 ここで言質を取られたところで、蒼一郎には痛くもかゆくもない。大吾が若宮組の組長を襲名できるなら、そのぐらいのリスクは自分が負うつもりだった。
 ヤクザは嫌いだけれど、大吾と若宮組の組員たちは別だ。彼らは、祖父と同じように蒼一郎の家族だった。
「よかろう。君にその覚悟があるなら、わしは剣持の若宮組組長襲名に賛同しよう」
「よろしくお願いします」
 組織内の組長交代は、幹部会で協議されるといっても、会長の権藤が支持するなら、ほぼ間違いはない。蒼一郎は、権藤に向かってもう一度、深く頭を下げた。
 相変わらず、隣に座った大吾は権藤を睨みつけているばかりだが、暴れださないだけまだましだ。内心でははらわたが煮えくり返っているかもしれないが、多分、蒼一郎のために堪えているのだろう。
 権藤も大吾を挑発して、藪をつついて蛇を出すようなことはしなかった。権藤の胸の内には、自分たちとは違う水上組の思惑がある。
 いずれにせよ、大吾と若宮組が黒龍会の矢面に立っている限り、水上組との全面戦争を回避する余地があった。
「ところで、君は『統仁会』の島村のことは聞いているか?」
 ふいに権藤のほうから話を向けられて、蒼一郎は軽く首を傾げた。
 島村が組長を務める『統仁会』は、黒龍会の傘下に入って、ことあるごとに若宮組を潰そうと画策してきた。
 そして、先日、大吾が出所すると、かつての愛人だった瞳を誘拐し、彼女と引き換えに蒼一郎の体を要求してきた。
 瞳を助けるために、蒼一郎は自ら島村の手に堕ち、ひどいやり方でレイプされたものの、追いかけてきた大吾に救われたという経緯があった。
 大吾とのタイマン勝負で島村は大怪我を負っていたが、その後、どうなったのかまでは蒼一郎も知らなかった。
 権藤も、だいたいのところは聞き及んでいるだろう。蒼一郎が島村にレイプされたことも、おそらく。
 その蒼一郎にわざわざ島村の消息を確かめる、権藤の意図がわからなかった。皮肉や嫌がらせというわけではなさそうだ。
「いいえ……」
「どうやら黒龍会との縁を切ったらしい。いや、黒龍会から破門されたというべきか……」
 正直に知らないと答えた蒼一郎に、権藤は何かを危ぶんでいるようにそう教えた。
 島村は、この大吾とまともに殴り合えるような男だ。常人にはない狂気と残忍さを持っている。危険なことは、大吾と大差ないだろう。
 黒龍会の支配から解き放たれた手負いの獣同然の島村を、権藤が警戒するのも無理はなかった。
「そのうち、若宮組のシマにも現れるかもしれないな」
 権藤は、まるで他人事のような口調で嘯く。
 まさか、自分に島村をなんとかしろと言っているわけではないだろうなと、蒼一郎は食えないじじいをこっそり窺った。
 島村は、彼を殴り倒した大吾に恨みを抱いているかもしれない。それに、黒龍会から破門されたというなら、蒼一郎の拉致に失敗したことが原因だろう。
「気にかけておきます」
 黒龍会との関係は断たれても、島村自身の舎弟はその側に残っている。統仁会は武闘派の集団だ。面倒な敵であることに変わりはなかった。
 権藤は、厄介ごとを若宮組に押しつけたがっているのかもしれないが、蒼一郎は一応、情報をくれた彼に感謝した。

           ◇

「薬は切れたのか?」
 権藤の屋敷を出て、迎えの車に乗り込んでからも、黙り込んだままいっこうに口を開かない大吾に、蒼一郎はいくらか心配になって声をかけた。
 いつもはうるさいぐらい話しかけてくる男だから、こう静かだと、せいせいするのを通り越して、逆に気持ちが悪い。
「ああ、とっくに……」
 蒼一郎に答える口数も、いつになく少ないし、どこかうわの空のようにも見える。
「考え事か? 珍しいな」
「俺だって、たまには頭を使うぞ」
 蒼一郎の揶揄に、ようやく鋭いまなざしを返してきたけれど、たまにしか考えないのかと、薄い肩を竦めた。
「で、何を考えていたんだ?」
「権藤のじじいが、やけにおまえに馴れ馴れしかったからだ……」
「変に勘繰るな」
 まるで、権藤相手に嫉妬でもしているような大吾の口ぶりに、勘違いもいいかげんにしろと、蒼一郎は素っ気なく吐き捨てた。
 だいたい、蒼一郎が権藤と直に会ったのは、ほとんど六年ぶりだ。
 水上組の会長である権藤と弱小組織の若宮組組長の孫息子にすぎない蒼一郎に、もとより接点などまったくなかった。
 祖父と組のためにそれなりの礼儀を尽くしたとはいえ、本来、蒼一郎ごとき小僧があんなふうに話のできる相手ではない。
 蒼一郎の度胸がいいというより、いっそふてぶてしいのは、祖父譲りの性格と、何より自分を育てた大吾のせいだ。
 だが、案外、権藤は蒼一郎のそういうところが気に入っているのかもしれない。変な相手に好かれてしまうのは、大吾と島村で、すでに実証済みだ。
「おまえも、ろくでもない野郎ばかりに惚れられるからな」
 忌々しそうにぼやく大吾は、その「ろくでもない野郎」の筆頭が自分だとわかっているのだろうか。
「大吾、言っておくが島村には……」
「今度会ったら、殺すっ!」
 手を出すなと、蒼一郎が釘を刺す前に、大吾が吼える。やっと彼らしくなってきたが、蒼一郎の不安は増すばかりだ。
「刑務所に逆戻りしたいのか?」
 六年間、大吾の出所を待った時間が蒼一郎にとってどれほど長く苦しいものだったか、この男は半分も理解していないのだろう。
「今度は上手くやる」
「大吾っ!」
 つかまらなければいいのだろうと獰猛に笑う大吾に、蒼一郎は険しい声を上げた。
 力ずくで強姦された痛みも屈辱も、忘れたわけではない。きっと忘れることはないだろう。けれども、その苦痛以上に、大吾の思い遣りと抱擁が自分を幸せにしてくれたから。大吾が抱きしめてくれる今を、二度と失いたくない。
 もう、どこへもやらない。誰にも渡さない。この男は、蒼一郎のものだ。蒼一郎のすべてだった。
「立場を自覚しろっ。今のおまえは……」
「組長なんぞ、クソ食らえだ。どうせ権藤のじじいは、俺を水上組の幹部だなんて思っちゃいねぇ」
 たとえ大吾の組長襲名を許したとしても、権藤には若宮組にも大吾にも手を貸すつもりなど端からないとなじる彼に、蒼一郎は身を乗りだして、力いっぱいその襟首をつかんだ。
「だからなんだ? おまえを組長と認めたのは、権藤じゃなく僕だ。僕と若宮組のみんなだ。それじゃ不満かっ? おまえは、僕の……この若宮蒼一郎の男だろうっ! 勝手な真似は許さない。一生、責任を取れ。おまえには、僕を幸せにする義務がある」
「蒼……」
 一瞬、大吾が蒼一郎の勢いに気圧され、傲慢な瞳を彼らしくない戸惑いに揺らした。そして、すぐにニヤリと獰猛に唇を綻ばせる。
「ったく、おまえの口説き文句にゃ逆らえねぇな」
「当たり前だ」
 これだけ言ってもわからないような男なら、こっちから願い下げだと呟いた蒼一郎の背中を、強靱な腕が痛いくらいに抱きしめてくる。同時に、噛みつくみたいに襲いかかってくる口づけを、大吾以上の激しさで貪った。
 疑うことすらバカバカしい権藤との関係や、島村にレイプされた心の傷。その程度で折れるような自分ではない。蒼一郎を信じきれない大吾に、心底腹が立ったし、それがかえって激情を駆り立てた。
 自分は大吾のものだと、ほかの誰のものでもあり得ないと、この自惚れが強いくせに鈍感な男に思い知らせてやりたくて。
 荒々しくねじ込まれてくる舌に容赦なく噛みついて、痛みさえ心地よさそうな大吾に自分のそれを与える。
 高まる心臓の鼓動を、上着の内側へ巧みにすべり込んできた大きな掌に確かめられ、ささやかな突起をシャツの上からつままれて、甘く喘いだ。
「はぁっ……あ、ぁ……」
「脚、開けよ」
 腿の間を、ふらちな膝で強引にこじ開けようとする男の仕草に、無意識に竦み上がると、じれったそうに促される。
 その声で、ようやくいくらか正気に戻って、今がまだ昼間で、しかも柴田たちが同じ車内にいることをぼんやり思い出した。
「大吾っ、車の中……」
 まわりのことを考えろと、息もつかせないキスの合間にやっと絞り出した蒼一郎を、大吾はひどく淫靡に目を細めて見下ろす。
「あ~んな台詞で俺を煽っといて、いまさら最後までヤらせねーなんて言わねぇよな、蒼?」
 言葉は蒼一郎に問いかけていても、これは脅しだ。蒼一郎に拒む余地などないことは明白だった。大吾は、強姦してでも今すぐ犯るだろう。
 こんなところで大吾を焚きつけてしまったことを後悔したけれど、もう遅い。
 蒼一郎の薄い肩からたやすく上着を剥ぎ取った大吾は、容赦なくズボンのベルトに手をかけてくる。
「大吾……。大吾、嫌っ……」
 赤子を扱うみたいにやすやすとズボンを脱がされて、下着の中をまさぐってくる熱い掌に、思わず怯えた声を上げていた。
「怖がるなよ、蒼。乱暴なまねなんかしねーよ。おまえを、可愛がりたいだけだ……」
 耳朶を舐めるみたいに、耳の中へ直接聞こえてくる大吾の囁きは、確かにひどくやさしい。だからといって、手加減してくれるような男ではないことは、蒼一郎が一番よく知っていた。
「やっ……こんなところで、したら嫌だっ……」
 拒絶しているつもりなのに、蒼一郎の声音は知らず知らず男に甘えるみたいな響きをおびていく。
 どんなにろくでなしのひどい男でも、大吾が好きだから、彼だけを愛しているから、無垢な体は巧妙なその手管に淫らなほど素直に反応してしまう。強情を張らせてくれない。
「だめっ! 指、入れないでっ。……痛いっ」
 脆い粘膜を確認するみたいに侵そうとする指に、掠れた悲鳴を上げた。
「ゆうべあれだけ犯ったのに、もうギチギチか。狭い孔だな……」
「大吾っ……」
 今朝の話を、また蒸し返されたような気がして、柴田たちに聞かれてしまう気遣いより、自分の不安が先に立つ。
「バカ、いい体だって言ってんだ。この締めつけ具合が堪らねー……」
 振り返ると、うれしそうに舌なめずりする男のいやらしく欲情に塗れた顔があって、蒼一郎は思わずカーッと紅潮した。
「変なこと、言うなっ……」
「聞きたがったのはおまえだろ? 俺がこの体にどんなに惚れてるか、知りたいって……」
「そんなこと……」
 言っていないとは反論できなくて、羞恥にわななく唇をキュッと噛みしめた。
 大吾の目は、シートの上で抱え上げ、あられもなく開かせた蒼一郎の白い尻をじっと見つめている。
「いい色をしてやがる。ほんと、きれいだよ、おまえは……女より、ずっとそそる」
「大吾っ!」
 蒼一郎は追いつめられたように、もう言わないでと叫んだ。欲望のまま大吾に犯されることよりも、あさましい自分の様子を柴田たちに聞かれるほうがよほどつらい。
「柴田、彦としばらく耳、塞いでろ。聞くなよ」
 同じ車内だ。聞くなと言ったって、聞こえてしまう。その無茶を、大吾は当たり前のように命令する。
 こんな男でも、兄貴が絶対の柴田や彦は、命令されたとおりに何も聞こえないふりを続けるだろう。
 それで蒼一郎の羞恥が薄れるわけもなかったけれど、堪え性のない体のほうが先に屈服させられた。
「あぁ――っ!」
 焼けるみたいな熱を孕んだ舌が、襞の中へねじ込まれてくる。指をかけて開かれ、無防備にさらされた内側を、大吾は情熱的に舐めまわした。
「ひっ! いやぁっ……」
「感じるのか?」
「嫌っ、大吾。そこ、だめ――っ……」
 ゆうべから、やわらかな内部は爛れたままだった。肉厚な舌でやさしく撫でられただけでもジンジンする。
 反射的に逃れようと腰を捩っても、大吾の腕はビクともしなかった。こんな時に、蒼一郎の抵抗を許すような大吾でもない。
「ちゃんと舐めて濡らさないと、あとでつらいのはおまえのほうだぞ」
 反対に、おまえのためだと言い聞かされると、経験で知っているだけに抵抗もできなくなる。尻を高く掲げ、シートにしがみついて、蒼一郎は細く啜り泣いた。
「大、吾……、大吾っ、だめっ! ひぃぃっ……あぁっ、あ、あぁぁ――っ!」
「いいだろう? おまえ、中を舐められるの、大好きだからな。こっちも、もうぐしょぐしょだぞ」
 なめらかな腹につくほど反り返っている性器を、ごつい掌でいじめるみたいに扱かれた。それだけで、爪先まで強烈な快感が満たす。
「だめっ、大吾っ! イくっ、イっちゃうっ……」
「もう少し我慢しろよ。後ろに、俺のを挿れてやるから……」
「早くっ、大吾。……早く、挿れてっ」
 理性など、上着といっしょにとっくに剥ぎ取られていた。柴田たちのことを思い出す余裕さえなかった。
 慣らされた体の奥が苦しいほど疼いて、欲望のままに愛しい男を欲しがってしまう。
「ゆっくりだ。蒼、息を吐け……」
 片手で蒼一郎の下腹をなだめるように撫でながら、ポケットからコンドームを取り出した大吾がパッケージを噛み破って、手慣れた仕草でゴムを被せる。おもむろにあてがわれた男の性器は、目も眩むほど熱かった。
「あっ……!」
「力むな。……ほら、尻の力を抜け」
 ぽんぽんと白い丸みを叩かれて、蒼一郎はふっと息を吐いた。ほんの少し力がゆるんだ瞬間、広がった先端が突き上げてくる。
「ひっ、ひぃぃ――っ……」
「大丈夫だ、蒼。傷つけたりしねーから……うんと気持ちよくしてやる」
「大吾……」
 ドアにしがみつこうとする細い指をつかまれて、逞しい男の胸に背中から抱きしめられた。淡い痛みと同時にきゅっと胸を締めつけられるような熱が中に入ってくる。
「あんっ、あ――っ、あ――っ……」
「いいか、蒼?」
 蒼一郎の濡れていく体と声の変化を感じ取ったように、大吾がこめかみにキスしながら訊いた。
「んっ、い……大吾、気持ち、い……」
 ガクガクと首を縦に揺らした。痛くない。蕩けるみたいに中が熱くて、自分ではどうしようもない淫靡な動きで中の楔をやわやわと締めつけた。
「中が、動いてるぞ。俺のを、うれしそうにしゃぶってる」
「んっ、大吾、動いて。もっと奥……いっぱい突いて」
 感じさせてと大胆にせがむ蒼一郎を、笑いながら男の腕がぎゅっと抱きしめ、やさしく揺らしてくれる。その動きが、どんどん速くなる。
「あっ、あ、あ……いいっ、大吾。いいっ、中……すごい」
「俺のものだ、蒼。この体も、頭も、誇り高いおまえの心も……全部、俺のもんだ」
 可愛い、愛していると囁きながら、大吾は振り向かせた蒼一郎に口づけ、繋がった腰をさらに深々と貫き、密着させる。
「あぁっ、あ――っ……イくっ、大吾」
「ああ、いいぜ、蒼。うんとイけよ」
 男に抱かれた下肢をビクビクと震わせて、蒼一郎はシートの上に欲望を吐き出す。直後に、体の内側で、激しく脈打つ大吾の絶頂を感じ取って、引き寄せる腕に、蒼一郎はぐったりと崩れ落ちた。
「今夜は、縛らせろよ、蒼……」
 まだ意識も朦朧としている蒼一郎の耳に、どれだけ餓えを満たしてもなおも貪欲に求めようとする男の声が、ぼんやりと届いた。

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