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冬コミ告知です。
相変わらず、イベント近くにならないと更新できずにすみません<(_ _)>
まずは、新刊予告です。
冬コミ
12/28 1日目 東3ホール サ-35b
月代探偵社
新刊
『闇の翼に満たされて』

ノベルサイズ/p52/表紙カラー/500円
ダリア文庫『闇の翼に囚われて』続編その3
黒羽×芳明
既刊は、すでに完売のもの以外は持っていきます。
お待ちしています<(_ _)>
メリークリスマス♪
ステキな時間をお過ごしください。
☆試し読み
まずは、新刊予告です。
冬コミ
12/28 1日目 東3ホール サ-35b
月代探偵社
新刊
『闇の翼に満たされて』

ノベルサイズ/p52/表紙カラー/500円
ダリア文庫『闇の翼に囚われて』続編その3
黒羽×芳明
既刊は、すでに完売のもの以外は持っていきます。
お待ちしています<(_ _)>
メリークリスマス♪
ステキな時間をお過ごしください。
☆試し読み
1.
(やられた。晴臣に完全に裏をかかれた。黒羽……っ)
芳明が封印の銅鏡の中へと吸い込まれていく黒羽の影を見送ったのは、ほんの一瞬のことだった。
彼がどんな表情をしていたのか、何か言おうとしたのか、芳明には判別することもできなかった。
けれど、見なくてもわかる。黒羽は最後まで、ただ芳明の身を案じていたはずだ。多分、七百年前に元の主だった吉明に封印された時だって同じだっただろう。
(晴臣の手に、あの銅鏡があることはわかっていたのに、黒羽に頼ってしまった俺のミスだ)
この世ならぬ存在を見ることしかできずにいた今の自分では、陰陽師の力を持つ晴臣には敵わない。彼と正面から戦うことを、心の中では恐れていたのかもしれない。黒羽は、そんな芳明の気持ちもわかっていて、あえて晴臣の前に姿を晒したのだろう。
(情けない……)
目の前にいる晴臣を恨む気持ちよりも自責の念のほうが強すぎて、芳明は、つい警戒を怠ってしまっていた。
「臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・在・前!」
声のするほうをハッとして振り返った時には、晴臣はすでに、その白い指で刀印を結んでいた。
芳明を見据えた黒々とした瞳には、殺意と言うには冷たすぎる不思議な意志が浮かんでいる。
(回避できないっ!)
光の刃が横凪ぎに襲いかかってくるのが見えても、芳明は動くこともできず、ただ息を呑んだ。
その鼻先で、パキンと何かが折れるような鋭い音が聞こえた。
(えっ?)
ほんの数センチ先の空間に浮かび上がった巨大な金色の五芒星が盾になって、晴臣の放った光の刃を弾き飛ばしたらしい。
(なんで?)
芳明を守ってくれるはずの黒羽は、もうここにはいない。ましてや、黒羽以外に味方などいるわけがないのに……。
「やれやれ……。少し、危なかったな」
飄々としたその声音は、茫然としている芳明自身の唇から洩れてくる。
確かに自分の声なのに、まるで他人の言葉のようだった。揶揄するみたいな笑みを含んで、チラリと晴臣とその背後の賀茂保元を艶やかな流し目で窺う仕草も、芳明にはまったく自覚がない。
状況が理解できずに狼狽える芳明に、対峙している晴臣のほうが答えをくれた。
「『術者殺し』……土御門吉明――」
「この時代に、その名で呼んでくれる者がいるとは思わなかったが……。まずは返礼をしておこうか」
(何を?)
芳明の口を使って勝手に喋る男は、制止しようとする声も聞かずに、ひどく慣れたなめらかな所作で次々に印を結んだ。
「臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・前・行!」
さっき晴臣に使われた九字を、そのままお返しするかのように、澄んだ声音が高らかに詠じる。
同時に、漆黒の闇が一瞬で周囲を包んだ。
(やられた。晴臣に完全に裏をかかれた。黒羽……っ)
芳明が封印の銅鏡の中へと吸い込まれていく黒羽の影を見送ったのは、ほんの一瞬のことだった。
彼がどんな表情をしていたのか、何か言おうとしたのか、芳明には判別することもできなかった。
けれど、見なくてもわかる。黒羽は最後まで、ただ芳明の身を案じていたはずだ。多分、七百年前に元の主だった吉明に封印された時だって同じだっただろう。
(晴臣の手に、あの銅鏡があることはわかっていたのに、黒羽に頼ってしまった俺のミスだ)
この世ならぬ存在を見ることしかできずにいた今の自分では、陰陽師の力を持つ晴臣には敵わない。彼と正面から戦うことを、心の中では恐れていたのかもしれない。黒羽は、そんな芳明の気持ちもわかっていて、あえて晴臣の前に姿を晒したのだろう。
(情けない……)
目の前にいる晴臣を恨む気持ちよりも自責の念のほうが強すぎて、芳明は、つい警戒を怠ってしまっていた。
「臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・在・前!」
声のするほうをハッとして振り返った時には、晴臣はすでに、その白い指で刀印を結んでいた。
芳明を見据えた黒々とした瞳には、殺意と言うには冷たすぎる不思議な意志が浮かんでいる。
(回避できないっ!)
光の刃が横凪ぎに襲いかかってくるのが見えても、芳明は動くこともできず、ただ息を呑んだ。
その鼻先で、パキンと何かが折れるような鋭い音が聞こえた。
(えっ?)
ほんの数センチ先の空間に浮かび上がった巨大な金色の五芒星が盾になって、晴臣の放った光の刃を弾き飛ばしたらしい。
(なんで?)
芳明を守ってくれるはずの黒羽は、もうここにはいない。ましてや、黒羽以外に味方などいるわけがないのに……。
「やれやれ……。少し、危なかったな」
飄々としたその声音は、茫然としている芳明自身の唇から洩れてくる。
確かに自分の声なのに、まるで他人の言葉のようだった。揶揄するみたいな笑みを含んで、チラリと晴臣とその背後の賀茂保元を艶やかな流し目で窺う仕草も、芳明にはまったく自覚がない。
状況が理解できずに狼狽える芳明に、対峙している晴臣のほうが答えをくれた。
「『術者殺し』……土御門吉明――」
「この時代に、その名で呼んでくれる者がいるとは思わなかったが……。まずは返礼をしておこうか」
(何を?)
芳明の口を使って勝手に喋る男は、制止しようとする声も聞かずに、ひどく慣れたなめらかな所作で次々に印を結んだ。
「臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・前・行!」
さっき晴臣に使われた九字を、そのままお返しするかのように、澄んだ声音が高らかに詠じる。
同時に、漆黒の闇が一瞬で周囲を包んだ。
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