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J.GARDEN38の告知です。

 ←おでかけします。 →ヘタレな近況です。
もう、イベントでしか更新されないブログと化しましたorz

いや、諦めるもんか。
片付けも、更新も、なんとか、か、か……。

寒いわ~っと、ぼーっとしている間に、庭直前となっておりました。
あっちこっちにご迷惑おかけしつつ、なんとか生きております。

でも、どうにかお約束を果たせて、『闇の翼』最終巻です。いったんw
今回、ってか、前回、吉明登場のあたりから、書くのがめっちゃ楽しくなってきまして、
最終巻はノリノリでした。
ああ、こういうのが好きなんだなあと、改めて実感しております。

会場にお越しの節には、ぜひスペースにお立ち寄りくださいませ。

J.GARDEN38
03/08 し-14a
月代探偵社

新刊
『闇の翼に酔わされて』
hyosiss_20150306004203da9.jpg
ノベルサイズ/p64/表紙カラー/500円

ダリア文庫『闇の翼に囚われて』続編・その4
黒羽×芳明

既刊は、すでに完売のもの以外は持っていきます。
※イベント完売でも、コミコミスタジオさんに、まだ多少残っている場合があります。



☆お試し読み


        1.

「くそっ、あのガキ……」
 黒羽が振り返った先には、すでに土御門晴臣の姿はどこにもなかった。その気配さえも、鮮やかに掻き消えている。
 鏡の呪縛が芳明に破られた瞬間に、己の不利と判断して、とっさに陰形の術で身を隠したのだろう。
 黒羽が忌々しそうに罵ったとおり、その引き際の潔さには感心すらしてしまう。決して相手の力量を見誤らない冷静さは、いかにも狡猾な陰陽師の末裔らしかった。
 異母兄の弘明から、晴臣は土御門家現当主の外孫だと聞かされたけれども、その術といい、心構えといい、若くして一族の一、二を争う実力者なのは間違いないだろう。
 もっとも、常人にはない見鬼の才を持って生まれた芳明と同様、陰陽師としてずば抜けた力を持つことが、この現代でどれほどの意味があるかはわからない。むしろ、芳明自身はこれまで、自分の力を疎ましく思うことのほうが多かった。
(あいつは、そうじゃなかったのかな……?)
 わけもわからないまま、弘明と黒羽という、芳明にとって誰よりも大切に思っている二人にちょっかいを出されて、温厚な質の自分には珍しいほど晴臣には激昂させられたけれど。一方で同じ異界を見ることのできる彼に、今も強い興味を抱いていることも否めなかった。
 それに、陰陽師として自分の一歩も二歩も先にいる晴臣に羨ましさや妬ましさも、確かに感じている。
「痛むか?」
 完全に姿をくらまされたことで、いったん晴臣への警戒を解いた黒羽は、腕の中に支えた芳明を改めて見下ろしてくる。
 そして、黒羽の操る凄まじい冷気の風に引き裂かれて、まだ血を滲ませている芳明の頬や腕の傷に、自分のほうが傷ついているようなせつなげな瞳を向けた。
「すまない。俺は……」
「違うよ。謝るのは、黒羽じゃない。ごめん……。助けられなくて、ごめん。つらいことを、思い出させてごめん。黒羽……」
 謝罪を繰り返すうちに、言葉ではとても言い尽くせない胸の痛みが込み上げてきて、じんわりと瞼の裏が熱くなる。
(多分……、この感情は吉明のものだ)
 自分の死を見せたくなくて、七百年前、黒羽を銅鏡に封じたのは吉明だった。その行為が、どれほど黒羽を苦しめるか、傷つけるかも、吉明はわかっていただろう。
 それでも、吉明は黒羽を突き放した。遠い未来の、自分と同じように黒羽を見つけ、愛することができる誰かに託すために。
 今は、ただ黒羽が愛しい。吉明の想いは、七百年の時を経て、きっと自分の中でゆるやかに溶け合っていくのだろう。それが、吉明の幸せにもなればいいと、芳明は祈らずにはいられなかった。
 けれど、あのひねくれ者の天才陰陽師は、今、芳明の意識の中にいる。その存在は、徐々にだが、はっきりと自己主張を始めていた。
 生々しい傷痕を見て、悄然としている大きな背中を、芳明は背伸びをして掻き寄せた。抱きしめるにはいささか大きすぎる相手に、必死に包み込むように腕を伸ばす。
 おずおずと視線を上げた黒羽は、芳明が頷きながら微笑むと、ふいに傷ついた体を激しく抱き寄せ、長い指で風にほつれた黒髪を梳いて、慈しむようにこめかみに唇を押し当ててきた。
「じっとしていろ。すぐに、傷を塞ぐ……」
「あ、黒羽……ちょっと!」
 漆黒の巨大な翼を拡げ、そのまま芳明を抱いて飛び立とうとする黒羽を、慌てて制止した。
「なんだ?」
 あれほどしょげた顔をしていたくせに、ちょっと芳明が逆らおうとすると、急に居丈高になるところが、身勝手だけどなんだかおかしい。
「ここへは、兄さんが連れてきてくれたんだ。車で……待ってるから」
 いくぶん遠慮がちにそう告げたのは、この後の黒羽の反応まで予想できたからだ。案の定、弘明のことを口にしたとたん、黒羽はいっそう不機嫌な目つきになった。
「放っておけ……」
「だめだって!」
 無視して飛び去ろうとする黒羽を、背中にまわしたままの両腕でどうにか押しとどめる。
 芳明の異母兄、弘明の前世は、安倍有世という。芳明の前世だった土御門吉明と同時代、およそ七百年前の陰陽頭だ。
 有世は吉明の従兄で、その後見人でもあり、吉明の天賦の才を利用して、自らは室町幕府の三代将軍、足利義満の信頼を得て、陰陽師としての栄華を極めた男だった。
 吉明に式神として仕えていた黒羽は、その時代の二人の関係をつぶさに見つめてきた。そして、有世を心の底から恨んでいるらしい。それは、吉明の恋人としての、有世への嫉妬も多分に含まれているように、芳明には思えた。
 その七百年分の恨みを、黒羽は、有世の生まれ変わりである弘明に向けている。現世においても、吉明の生まれ変わりである芳明の異母兄で保護者でもある弘明の存在が、どうにも癇に障るらしい。
 恋する男の執念というのは、なんとも凄まじいものだと、当の芳明は呆れるばかりだったけれど、できれば兄と黒羽には適度に仲良くしてもらいたい。馴れ馴れしくて、ちゃっかり者の兄に、あまり仲良くされても、それはそれで心配ではあったけれど。
「ともかく、俺も黒羽も無事だって、兄さんに報告させてよ。黒羽のことも、心配してくれていたんだ」
「……」
 何か言い返そうとして、黒羽は思いとどまったように言葉を呑み込んだ。
 彼自身も、弘明と有世が別人だということは、頭では理解しているはずだ。それでも、芳明を三門グループのために利用している弘明を見ると、つい前世と重ねてしまうのは、無理もない話かもしれない。
「どっちだ?」
「私道に入ってくる手前の林の中……、黒羽っ、俺、自分で歩けるから」
 芳明を抱いて歩き出そうとする黒羽に、焦って言い訳した。
 さすがに、恋人にお姫様抱っこされている姿を肉親に見られるのは恥ずかしいし、黒羽の神気のおかげで傷もほとんど塞がっていた。神経を直に抉られているようだった鋭い痛みも、今は、全く感じない。
「いいから、じっとしていろ」
 それだけは譲らないというように、黒羽は険しい口調で命令してくる。
 彼が、晴臣に操られて芳明を傷つけてしまったことを、どれほど悔やんでいるかわかるから、もう逆らわずに強靱な腕へおとなしく身を委ねた。
(でも、黒羽が無事で、帰ってきてくれて……、本当に良かった)
 鏡の中に黒羽が封じ込まれるのを見た時は、もう二度と会えないかもしれないという恐れに、心が凍りつきそうだった。
 無理に眠れば黒羽の夢ばかり見て、ろくに食事も喉を通らなくて、ほんの数日の間で芳明がげっそりとやつれてしまったことに、彼もとっくに気づいているだろう。
(黒羽と引き離されたら、きっとどうにかなってしまう)
 それほど、彼が大切な存在なのだと、改めて思い知らされて、その黒羽への深い執着を断ち切った吉明の想いが、胸を刺した。
(自分よりも、何よりも、黒羽のことを愛していなければ、きっとあんな真似はできない)
 意地悪くて、綺麗で、淫乱で、自信過剰な、あの天才陰陽師が、どれほどの愛情をこの式神に向けていたのか、芳明にはまだ推し量ることさえできていないのだろう。それでも、愛する者を失う痛みは、骨身に沁みた。
 こんな想いは、二度とごめんだった。きっと自分の中にいる吉明も、同じ気持ちだろう。
 陰陽師の屋敷だ。どんな罠があるかわからない。恋人の腕に守られて、ぼんやり物思いに耽っている芳明と裏腹に、黒羽は細心の注意を払って長い廊下をすべるように移動した。
 黒い翼を持つ式神本来の姿に戻っている彼の足下が、わずかに宙に浮かんでいることにようやく気づく。
「黒羽……?」
「心配するな。奴ならとっくに遠くへ離れている。用心深い男だ」
 黒羽は、いっそう忌々しそうに呟いて、芳明を抱えている腕に力を込めてくる。できれば、鏡に呪縛された恨みをこの場で返したかったのだろうと、彼の強い怒りがまざまざと伝わった。
 黒羽の怒りを買うとわかっていて、晴臣はなぜこんな罠を仕掛けたのだろうと、ふと疑問が湧き上がった。
 黒羽を銅鏡に封印するだけで、芳明は手足をもがれたも同然だった。わざわざ黒羽を使って、芳明を襲わせる意味などあったのだろうか。
[試したんじゃないのか……?]
「えっ?」
 頭の中で響いた問いに、思わず声に出して訊き返してしまった。
「なんだ?」
 芳明の心の中までは読んでいないらしい黒羽は、怪訝そうな顔つきで見下ろしてくる。芳明はとっさに、ごまかすみたいに首を左右に振った。
「なんでもない……」
 自分の中に吉明の意識が蘇り始めていることを、黒羽は気づいているだろうか? それを知ったら、かつての主の復活を、彼は喜ぶだろうか?
 ひどく複雑な気分になって、芳明はまだ自分の中の変化を黒羽に打ち明けることができなかった。
(試したって、どういう……?)
 声に出さない芳明の質問には、意地の悪い陰陽師は何も答えてくれない。でも……。
(晴臣の狙いは、《安倍晴明の朱器台盤》だ……)
 弘明から聞かされた話を思い出し、ひどく嫌な予感がした。
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